【後編】「おすすめの作品」や「見どころ」について、あっくんのエピソードを交えながらご紹介します!

2022.07.20

自己紹介


あっくん

中華BL読了作品多数。中国語を原文で読める中華BLの伝道師的存在。Twitterアカウントは @akkunakkunn11 中華BLのことならなんでもどうぞ!


ゆうちゃん

日販アイ・ピー・エスの社員。本が好き。BLも読むが中華BLは超初心者。『魔道祖師』の日本語版(フロンティアワークス)を読了したばかりの新参者。


あっくんに中華BLの魅力やおすすめの作品についてインタビューをしました!今回の後編では、「おすすめの作品」や「見どころ」について、あっくんのエピソードを交えながらお伝えしていきたいと思います。

めちゃめちゃありますよ(笑)たぶんこの話とまんないですね。(順番で話すと)『陳情令』の後に読んだのが、『渣反』だったんですよ。

墨香銅臭先生の1作目ですよね。

そうです。そのまま『天官賜福』に手をだして、その後Priest先生で、今日本でも翻訳されて、今度書籍にもなる『鎮魂』読んで…。沼!再び。もうなんか同じ先生でも沼が3つぐらいある。

沼が3つぐらいある…?

そう。先生の書いた作品ごとの沼って言うんですかね?作品ごとにテイストがかなり違うので、結構ギャグ路線だったりとかシリアス路線だったりとか、いろんな路線があるんですね。だからそれにあわせて沼も増えていくんですよ。本当にそれぞれの作品にそれぞれの沼なので、もう沼にずぶずぶずぶずぶ、どんどんハマっていく…。

あと、個人的に一押しなのは、『二哈(海棠)』です。『魔道祖師』読んで、『魔道祖師』の著者の作品を全部読んで、その後Priest先生の作品、日本語にもなっている『鎮魂』読んで、その後に読んだのが『二哈』だったんですね。そこでもうどっぷりはまって(笑)。もう人生変わったなと。ただでさえ深い沼なのに、もうずぶずぶになってしまって、上がれなくなりました。

中国の紙書籍のタイトルが『海棠微雨共帰途~』で、ネット小説の原作が『二哈』ですよね。

そうですね。中国語のタイトル『二哈和他的白猫师尊』からだとワンちゃん猫ちゃんがいたり、愛らしい雰囲気がでてるんですけど、実はもうめちゃくちゃ重いストーリー展開もあって、読んでるときにご飯食べられなくなって、ちょっと瘦せました(笑)

痩せた!?

辛すぎて感情が入っちゃって、抑えられなくて!そのぐらいハマったので、人生変わったなあって思います。あと、『千秋』は個人的にすごく好きですね。

『千秋』ですねー。

そう。なんかここまでズルい攻めっていうか、大丈夫かなって攻めを見たことがなくて、『千秋』が初めてだったんですよ。

大丈夫かなっていう攻め…?ネタバレにならない程度に詳しく教えてください(笑)

『千秋』の攻めは晏無師っていう子なんですけど、彼は魔教の子で…。あ、「この子」って言ってますけど、いい年のおじさんです(笑)彼はいわゆる悪役なんですよ。で、受け沈嶠はその反対ですね、正道の人で。攻めが受けを悪の道に導こうとするんですね。

悪の道に導こうとするんですか!?

こっちにこいよ。みたいな感じじゃないですけど(笑)。沈嶠は聖人君子なんですよ。すっごく清らかで聖母みたいな存在。「世は善でできている」って信じていて、それを曲げないんですね。で、攻めはそれが面白くもあり、じゃあこの子が自分と同じ悪の道に進んだらどうなるのか、人間って善だけじゃない、悪もあるんだよってどんどん嫌な目に遭わせるんですね。

嫌な目に遭わせる…!?良くない方の好奇心ですね。

そう、もう最悪なんですけど、いろんな目に遭わせて、それでも自分の心を曲げない。いろんなつらいことがあって、裏切られ、大けがし吐血して、そんなつらい目に遭っても心折れずに自分の信じる正義をつらぬく沈嶠(受け)。

かっこいいい…!

めちゃくちゃかっこいいんですよ。あの子はただの聖人君子じゃないんですよね。すごい芯がしっかりしていて、人間の善の面をしっかり見ようとする子なんです。なのでそういう子に、おじさんも惹かれていく、どんなに手ひどいことをしても自分を助けようとしたり、自分にも優しくしようとしている沈嶠に、晏無師はときめくんです。でも、やっぱり前半はひどいんですよ。もう嫌な目に遭わせるって目的なので、(悪に)堕落させるっていう。最悪の好奇心(笑)

あー、お話きいていると、その心が動いた場面がすごく気になります。

ほんとそう。この2人ってやっぱり最初読んでいっても、大丈夫かな?くっつくかなって?思うんですけど

そんな嫌なことあったら、あ、ちょっといいっですってならないかな…って思いますよね。

私もずっと思ってました(笑)。でも沈嶠も沈嶠で、嫌な目に遭わされて、人間の世って汚れている面もあるんだなって知っていくんですよね。そこがなんていうか彼の成長であり、(『千秋』は全体的に彼の)成長の過程を見守る物語でもあるかなって思います。成長していく中で、晏無師のこの行動にはこういう理由があってやってるんだって徐々に知るんですよ。晏無師はただのやばい人じゃないと、わかるんです。

ただのやばいおじさんじゃないんですね(笑)安心しました。

大丈夫です。ちゃんとハッピーエンドします。

今のお話を伺うと、すごくストーリーやキャラクター設定もちゃんとされている感じだなって思ったのですが、それは中華BLの特徴というか、他の作品とかもかなり深く設定がつくりこまれているのでしょうか?

そうですね。すごい細かく作りこまれているかなと思います。例えば『千秋』ですと、主人公たちの恋ってもちろん楽しみなところではあるんですけど、その裏で、この世界がどういうふうに動いているのか、世界の勢力や門派がいくつもあって…

『魔道祖師』もすごかった!

そうそう。それぞれの門派がどういう状況でっていうのを細かく描写されているんですけど、『千秋』の場合は、さらに朝廷でどういう風に物語が動いているのかまで描かれている。だから、主人公たちの恋模様は物語の一部で、その裏のうごめく陰謀であったり、国の大義のための行動だったり、いろーんな要素が組み込まれているんですよね。なので、すごい作りこまれているし、(恋模様だけじゃなくて)物語の世界観をみるっていうのも楽しみのひとつかなって思います。

ただの恋愛もの、BLとしてだけでなくストーリーそのものを楽しめそうですね。

(『千秋』で言うなら)恋愛として楽しむの後半かも(笑)結構後半(笑)

後半なんだ(笑)。やきもきしそう。くっつけくっつけーって。

中華BLの魅力のひとつでもあるんですけど、くっつくまでの時間が結構かかるので、そのくっつくまで、2人がやきもきしているときに読者も一緒ににやきもきするんですよ…。見守っているこっち側も、「あーなんでそこで言わないんだ」とか「なんでその手に出るんだ」って。「がんばりな」って親目線になっちゃう(笑)

親目線(笑)。だから晏無師のこと「子」って呼んじゃうかもですね。可愛い。

可愛いんです。おじさんたちの恋。平均年齢高め(笑)なのに思いっきりやきもきさせられます。

他にも、先ほど肉まん先生の二哈にすごいハマったっておっしゃってたと思うんですけど、『二哈』って今すごい世界的にも人気ですよね?

はい、『二哈』は韓国版とベトナム版とタイ版が、あともうすぐ英語版がでるんですね。実写化されている状態で配信自体はまだ未定なんですけど、ファンベースはすごい大きい作品ですね。

それは待ち遠しいですねー!!!その他にも中華BLの作品ですと、『成化十四年』とか…?

いいですねえ。『成化十四年』は受けの唐泛くんがすごい好きで、めちゃくちゃカッコよくて賢いんです。それから、ちょこちょこ料理についてのメンションがあったりするので、謎解きと恋愛とご飯。もう夜に読んじゃいけないなってなる。(笑)キュンキュンするし、飯テロされる。

食べたくなっちゃいますよね。

お腹すきますよ。いろいろな作品そうなんですけど、シンボル的な料理がある作品が多いですね。、例えば『魔道祖師』だったら、レンコンとお肉のスープ。

あああ、あれめっちゃ食べたくなりました!

思い出の料理だから、うまそーってなります。『二哈』だったら、師尊楚晩寧がつくるラー油のワンタン。美味しそうにかかれているんですよー。読んでてもうお腹すくなーってなります。

うわー食べてみたいですね。特に日本で普段食べなれていないお料理だと、どんな味がするんだろうって気になりますよね。

お腹すきますね。(笑)

ほんとに中華BLはBLとしてだけでなく、緻密につくりこまれたストーリーや背景もそうだし、ご飯とか、楽しむポイントがたくさんあるなって思いました。

盛りだくさんです!あとそうですね。ここまで時代ものの話が多かったんですけど、現代ものとかだと、今の中国の文化を知ることができるので。例えば高校入試がどんな感じとか、大学入試はどんな感じとか。文化を知る手段としても(中華BL)いいと思うんですよね。

面白そう。日本と全然違う感じですよね?

かなり違いますね。自分と違う文化に触れていくって日常生活でなかなかないことじゃないですか。例えば中国だったら大学入試ってこんな感じなんだとか、だからみんな必死になって勉強してるんだとか、いろいろ知ることができます。

おー。私やっぱりいちばん最初に『魔道祖師』読んだので、どうしても中華BLって少し時代もののイメージがあったのですが、現代を舞台にした作品も多いんですよね?

かなり多いです!現代ものもたっくさんあります。さっきメンションもありましたが、『撒野』という作品は、これ中華BLでも珍しいリバ、受け攻めが固定されていないんですけど、この作品は高校から大学までを描いています。

青春ど真ん中!高校から大学までってかなり長いですね。

そうー!だからやきもき期間も長いし、高校生の2人がどうやって思いを吐き出すのかとか、家庭的な事情をそれぞれ抱える2人なので、その鎖をどうやって振りほどいて相手に歩み寄っていくのか、お互いをどうやって助けていくのか。個人的にはもう中華BL最強のリバって思ってます。

高校と大学って多感な時期でしょうから、舞台背景をきいているだけでも、2人の心の動きとか気になります。あと、中国でいうと、『三体』ってすごい日本でも話題になったじゃないですか。すっごい面白かった。

めちゃくちゃ面白かった。すごいですよね?

作者先生天才としか…

すごいとしか…言葉がでないぐらいすごいんですけど。

語彙力(笑)中華BLもそういうSF設定はありますか?

ありますよ~!SFといったらPriest先生の『残次品』。この作品はアニメ化もされていて、作品の内容も何年にもわたります。宇宙をまたにかけたBL!(後記;日本上陸発表されましたね!おめでとうございます!)

宇宙?宇宙をまたにかけたBL…!?

そう(笑)宇宙をとびまわる。ネタバレにならない程度の話がちょっとできないんですけど、攻めの陸必行くんは少し理想主義者で、自分で学校をつくって教育を受けられない子たちに教育を提供したいっていう理想を持っていて、受けの林静恒は...…あ、だめ(笑)ネタバレになっちゃう。(笑)

あああああああ!(笑)

うーん、林静恒は最強の将軍っていうかっこいい肩書を持っているんです。(こうして2人の立場を見ると)天と地じゃないですか。何の接点もない2人なんですけど、実はちょっと接点があって、とあることで2人が出会って…この作品ギャグ要素も入っていて、まず出会い方が面白いんですよ。ちょっとこれ以上言わないんで、読んでいただいて…

気になるうううう

2人が出会って、「この人面白いな」「この人可愛いな」っていう心の動きがあって、徐々にっていうのがね…でもこの作品恋愛もですけど、やっぱり後ろでうごめく陰謀が面白いんですよね。

宇宙をまたにかけてますもんね。

そう、林静恒くんがどうして最初ああいうスタートから始まったのかとか、どうして気にかけているのかとか。あ、言わないんで。(笑)

めっちゃ気になる(笑)

少しずつ解き明かされていくともう「うおおおおおお」ってなる。

出会うはずのない2人とか、全然性格とか立場が違う2人がくっつく作品って無性に惹かれるものがありますよね。全然違うのに、でも!みたいな。

全然違う2人が出会うのもそうですし、最初は敵同士、いがみ合っていたのに、くっつく作品もあって。『将進酒』っていうんですけど。あれは最初、「え、死んでしまうぞ、それ」「攻め、それやったら死ぬぞ」っていうスタートからはじまって、お互いバチバチやりあいながら、自然な流れで恋をするんですよ。本当に、じっくり時間をかけてっていうのが中華BLの魅力かなって思いますね。

今すごいネタバレしないように語っていただいた感じがしましたが、話のつづきめちゃくちゃ気になりますね。

いやもう必死。(笑)詳しくはぜひ読んでいただいて。(笑)

いやー今日はほんとにたっくさん語っていただいてありがとうございました。もっとお話しを伺いたいし、いやでも後は自分で読みたいしって気持ちがせめぎ合ってます。今日は本当にありがとうございました。


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